合成紙の断裁加工ガイド|「静電気」や「バリ」を防ぐ高精度カット技術

合成紙の断裁加工ガイド|「静電気」や「バリ」を防ぐ高精度カット技術

耐水性・耐久性に優れ、屋外ポスターや飲食店のメニューなどに幅広く使われる「合成紙」(ユポ紙など)。

雨に濡れても破れず、汚れにも強いという特性から、過酷な環境下でも長期間使用できる印刷物として、さまざまな場面で採用されています。選挙ポスターや屋外広告、食品ラベルなど、耐候性が求められる用途には欠かせない素材となっています。

見た目は紙に似ていますが、主原料は石油由来の樹脂(プラスチックフィルム)であり、「紙」とは全く異なる特性を持っています。この根本的な違いが、加工方法にも大きな影響を与えます。

そのため、断裁加工(カット)にも、通常の紙とは違う特有の難しさやノウハウが必要です。この記事では、合成紙の断裁加工のポイントを解説します。合成紙を使った印刷物の製造・発注を検討されている方は、ぜひご参考ください。

目次

「合成紙」とは?(紙との決定的な違い)

合成紙とは、主原料がプラスチック(主にポリプロピレンやポリエチレン)で、紙のように印刷適性を持たせたフィルム素材です。「ユポ」「クリスパー」などの商品名で知られており、紙の代替素材として広く使用されています。

紙(パルプ)との最大の違いは、「水に濡れてもふやけない(耐水性)」と「破れにくい(耐久性)」という特性にあります。通常の紙は水分を吸収すると強度が著しく低下しますが、合成紙はプラスチック素材のため、水を吸収せず、濡れても形状や強度を保ちます。また、引き裂き強度が高く、通常の紙よりも破れにくいという特徴も持っています。

さらに、耐薬品性にも優れているため、油や洗剤などが付着する環境でも使用できます。印刷適性も良好で、オフセット印刷、オンデマンド印刷、インクジェット印刷など、さまざまな印刷方法に対応可能です。

主な用途としては、選挙ポスターや屋外掲示物、冷凍・冷蔵食品ラベル、飲食店のメニュー、浴室で使える地図やマニュアル、医療機関の掲示物、工場の作業手順書など、水や汚れ、頻繁な使用に耐える必要がある印刷物に広く採用されています。特に選挙ポスターは、屋外で長期間掲示されるため、合成紙が標準的に使用されています。

合成紙の断裁加工が難しい理由

合成紙の断裁加工が難しい理由

合成紙が「紙」ではなく「フィルム」であることに起因する、加工上の注意点を3つの観点から解説します。

注意点1:静電気の発生

合成紙はプラスチック素材のため、非常に静電気が発生しやすいという特性があります。これは、合成紙の断裁加工における最も大きな課題の一つです。

静電気が発生すると、合成紙同士がくっついて作業性が著しく低下します。断裁後の製品を取り出そうとしても、紙が何枚も張り付いて分離できなかったり、積み重ねた際に正確に揃わなかったりします。また、静電気によって紙が引き寄せられることで、断裁時に紙束がずれ、断裁ズレの原因になることもあります。

さらに、静電気はホコリや紙粉を引き寄せるため、製品表面が汚れやすくなります。特に、印刷面に静電気でホコリが付着すると、せっかくの美しい印刷が台無しになってしまいます。

この問題を解決するには、静電気対策が不可欠です。除電装置(イオナイザー)を使用して作業環境の静電気を除去したり、作業台に導電性のマットを敷いたり、適切な湿度管理を行ったりするなど、さまざまな対策が必要です。合成紙の加工に慣れていない業者では、この静電気対策が不十分なために、作業効率や品質に問題が生じることがあります。

注意点2:断面の品質(バリ・溶け)

合成紙は、プラスチック素材であるため、紙よりも硬く、断裁機の刃が摩耗しやすいという特徴があります。これは、金属の刃がプラスチックを切断する際に、通常の紙以上の抵抗を受けるためです。

切れ味の悪い刃で加工すると、摩擦熱で断面がわずかに溶けたり、「バリ(カエリ)」と呼ばれるささくれが発生したりして、仕上がりが悪くなります。バリは、刃が合成紙を綺麗に切断できず、断面から薄い膜状のプラスチックが飛び出したような状態になる現象です。

このバリがあると、見た目が悪いだけでなく、手に触れた際に不快感があったり、製品を重ねた際に次の製品を傷つけたりする可能性があります。特に、食品ラベルや飲食店のメニューなど、手に取って使用する製品では、バリは大きな品質問題となります。

また、摩擦熱による溶けは、断面が白っぽく変色したり、わずかに盛り上がったりする原因になります。これも製品の美観を損ない、高級感を損なう要因となります。

美しい断面を実現するには、刃を常に鋭利な状態に保ち、合成紙専用の刃角度や断裁速度を設定することが重要です。通常の紙加工よりも頻繁な刃の交換や研磨が必要となり、これが合成紙加工のコストに影響する要因の一つでもあります。

注意点3:熱による伸縮

合成紙は熱に敏感なため、加工時の摩擦熱や保管環境によってわずかに伸縮し、寸法精度に影響が出ることがあります。プラスチック素材は、温度変化によって膨張・収縮する特性があるためです。

断裁加工時には、刃と合成紙の摩擦によって熱が発生します。この熱により、合成紙がわずかに軟化したり伸びたりすることがあり、冷却後に寸法が変化する可能性があります。また、作業場の室温や、断裁前後の保管環境の温度差も、寸法に影響を与える要因となります。

特に、大判の合成紙や、高精度な寸法が求められる用途(ラベルなど)では、この熱による伸縮は無視できない問題です。数ミリの寸法誤差でも、後工程や製品の使用時に支障をきたすことがあります。

この問題への対応としては、作業環境の温度管理、断裁後の十分な冷却時間の確保、断裁速度の最適化(摩擦熱を最小限に抑える)などが重要です。また、合成紙の特性を理解した上で、温度変化による寸法変化を見越した加工計画を立てることも、経験豊富な業者ならではのノウハウとなります。

合成紙の断裁加工をご検討なら、まずはサンロールグループにご相談ください

合成紙の断裁加工をご検討なら、まずはサンロールグループにご相談ください

サンロールグループは、紙加工の専門家として、合成紙(ユポ紙など)の加工特性を熟知しています。

ただし、合成紙は製品によって厚み、素材の配合、表面処理などが異なり、加工の難易度や対応方法も大きく変わります。そのため、まずは使用される合成紙の種類や仕様をお伺いした上で、加工の可否や最適な方法をご提案させていただきます。

長年の経験で培ったノウハウをもとに、合成紙特有の課題(静電気、バリ、熱による伸縮など)に対応した断裁加工を実現します。

合成紙の断裁加工をご検討の際は、まずは一度サンロールグループにお問い合わせください。合成紙の種類や仕様をお伝えいただければ、加工の可否や最適な方法を判断し、お客様に最適なご提案をさせていただきます。

まとめ

合成紙は、耐水性・耐久性に優れた素材として、屋外使用や過酷な環境下での印刷物に欠かせない選択肢です。しかし、主原料が樹脂であるため、断裁加工には「静電気」「断面のバリ」「熱による伸縮」といった、通常の紙とは異なる特有の課題があります。

これらの課題は、通常の紙加工の知識や設備だけでは対応が難しく、合成紙に特化した技術とノウハウが必要です。美しい仕上がりと寸法精度を求める場合は、合成紙の加工経験が豊富な専門業者に依頼することが不可欠です。

合成紙の断裁加工をご検討の際は、合成紙の特性を深く理解し、静電気対策や専用の刃管理など、適切な設備と技術を持つ加工業者を選ぶことが、製品の品質を確保する重要なポイントとなります。

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