合成紙の抜き加工とは?素材特性に応じた注意点を解説

水や油に強く、破れにくい特性を持つ「合成紙」は、ラベルやタグ、屋外用表示物などに多く使用されています。こうした合成紙を製品形状に仕上げる際に欠かせないのが「抜き加工」です。
しかし、合成紙は一般的な紙と異なり、樹脂系素材特有の性質を持っているため、加工時にいくつかの配慮が必要です。この記事では、合成紙の抜き加工について、その基本と注意点をわかりやすくご紹介します。
合成紙の抜き加工とは?
合成紙とは、ポリプロピレンやポリエステルなどの合成樹脂を主成分とした紙代替素材で、印刷適性と耐久性を両立した機能性資材です。
抜き加工では、トムソン型などの刃型を使って所定の形に打ち抜くことで、ラベルやカード、案内表示などを目的に仕上げられます。ただし、合成紙は紙のようでいて実際にはプラスチックに近い性質を持つため、切断時の挙動や刃への影響など、紙とは異なる前提での加工設計が必要です。
合成紙の抜き加工で注意すべきポイント

材質による切り口のクセに注意
合成紙は引っ張り強度が高く破れにくいため、切断時に刃が入りにくい・断面が溶けるように変形するといった特性が見られることがあります。過度な圧力や摩擦熱の発生を防ぐため、刃の切れ味・加工スピードの調整が重要です。
また、合成紙は普通紙に比べて刃が摩耗しやすい傾向があります。切れ味が落ちた状態で加工を続けると、断面のバリや毛羽立ちが発生しやすくなるため、刃のメンテナンスや交換のタイミングにも注意が必要です。
素材の厚みや硬さに応じた刃圧の調整
合成紙には様々な厚みやグレードがあり、それぞれで硬さや柔軟性が異なります。薄手のフィルムタイプから厚手のカードタイプまで幅広く、素材ごとに最適な刃圧や刃の種類を選定することが、きれいな仕上がりにつながります。
刃圧が不足すると切断不良が発生し、逆に強すぎると素材が変形したり、刃型や加工機への負担が大きくなったりします。素材の特性を見極めた上で、適切な加工条件を設定することが大切です。
まとめ
合成紙は高い機能性を持つ反面、加工時には紙とは異なる注意が必要な素材です。抜き加工においても、材質の硬さ・柔軟性といった特性を理解し、適切な条件で加工することが大切です。
