コート紙の抜き加工とは?美しい仕上がりのための基本と注意点

チラシ、パンフレット、パッケージなどで広く使われている「コート紙」は、発色の良さと滑らかな質感が特長の紙素材です。こうしたコート紙を製品の形に整えるうえで欠かせないのが「抜き加工」です。
しかし、表面が平滑で滑りやすいコート紙には、加工時に特有の注意点も存在します。本記事では、コート紙の抜き加工について、基本情報と注意ポイントをわかりやすく解説します。
コート紙の抜き加工とは?
コート紙とは、紙の表面に塗工(コーティング)を施して光沢感や印刷適性を高めた紙です。インクの発色が良く、グラフィック性の高い印刷物に多く使用されます。
抜き加工では、トムソン型(金属刃を木型に埋め込んだ抜き型)を使って、所定の形に紙を打ち抜きます。コート紙は塗工面が滑らかなため、加工精度だけでなく、紙の滑りや表面割れなどへの配慮も重要です。
コート紙の抜き加工で注意すべきポイント

表面割れの防止
コート紙は塗工層がしっかりしている一方で、折れやカット時に表面が割れる(クラックが入る)ことがあります。これを防ぐためには、刃の切れ味の維持や、加工圧の適正化、流れ目の考慮が重要です。
特に厚手のコート紙や、光沢度の高いコート紙では、塗工層が硬いために割れが目立ちやすくなります。刃圧が強すぎると断面に圧力がかかり、表面のコーティングが割れてしまうため、素材に応じた細やかな調整が求められます。
紙の滑りやすさへの対応
コート紙は滑らかな質感を持つため、加工中に滑って位置ズレが起こることがあります。特に複数枚を重ねて加工する場合や、高速での加工時には、紙がずれやすくなる傾向があります。
加工時には、紙の送り精度や、適切な固定方法などの工夫が求められます。位置ズレが発生すると、印刷デザインと抜き位置がずれてしまい、製品の品質に大きく影響します。
断面の美しさへのこだわり
コート紙は印刷の発色が良く、視覚的な美しさが求められる用途に使われるため、抜き加工後の断面の仕上がりも重要です。刃の切れ味が落ちていると、断面に毛羽立ちやバリが発生し、製品の質感を損ねてしまいます。
定期的な刃のメンテナンスや交換、適切な刃圧設定により、滑らかで美しい断面を保つことができます。
まとめ
コート紙の抜き加工は、美しい仕上がりを求められる場面が多く、表面割れや滑りといった特性に応じた対応が必要です。刃圧・刃型設計・加工環境の工夫により、コート紙本来の質感を活かした仕上がりを目指すことができます。
